Sweet Spot 映画に見るリハビリテーション
「誰も知らない」―“発達障害がある親”の問題をあぶりだす
二通 諭
1
1千歳市立北進中学校
pp.901
発行日 2004年9月10日
Published Date 2004/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552100708
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「誰も知らない」(監督/是枝裕和)は,14歳の柳楽優弥がカンヌ国際映画祭最優秀男優賞(史上最年少・日本人初)を取らなければ無名のまま通り過ぎていっただろう.たしかに世界レベルの作品であり,その力が正しく賞に反映されたことは本当に喜ばしい.
本作は実話をもとにしている.
都内の2DKのアパートに母親の福島けい子(YOU)と明(柳楽),京子,茂,ゆきの4人の兄妹が引っ越してくる.ただし,母と明以外はいないことになっている.子どもの多い母子家庭は入居を拒否されるからだ.したがって3人の弟妹は外はおろかベランダに出ることも許されない.子どもたちの父親はみな別々で,学校にも行かせてもらえない.明は学校へ行きたいと告げるが,母は今好きな男がいて,その人と結婚して大きな家に住めるようになれば学校へ行けるとやんわり却下.
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