Japanese
English
特集 歩行訓練
パーキンソン病における歩行とリズム―音リズム刺激の臨床応用
A study of effects of rhythmic auditory stimulation for gait disturbance in patients with Parkinson's disease.
林 明人
1
,
大越 教夫
2
Akito Hayashi
1
,
Norio Ohkoshi
2
1順天堂大学医学部脳神経内科・順天堂大学大学院リハビリテーション医学
2筑波大学臨床医学系神経内科
1Department of Rehabilitation, Neurology, Juntendo UNiversity School of Medicine
2Department of Neurology, Institute of Clinical Medicine, University of Tsukuba
キーワード:
パーキンソン病
,
歩行障害
,
抑うつ
,
音リズム刺激
Keyword:
パーキンソン病
,
歩行障害
,
抑うつ
,
音リズム刺激
pp.847-851
発行日 2004年9月10日
Published Date 2004/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552100698
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
パーキンソン病の治療は薬物療法が中心であるが,現在使用されている抗パーキンソン病薬では病気の進行を抑えることはできない.罹病期間が長期になると,運動障害,特に歩行障害が強くなる場合が多く,リハビリテーションの果たす役割が重要と考えられる.
近年,パーキンソン病の歩行障害に対して音リズムを取り入れた音楽療法などのリハビリテーションに関わる研究がなされ,その有用性が注目されている1,2).また,音リズム刺激による機序として,パーキンソン病で障害される内的なリズム形成に対して,外的なリズムである音リズムにより刺激することで歩行リズムの形成が安定化する可能性が推察されている3,4).また,メトロノームのような,より明確な音リズム刺激のほうが,行進曲などの音楽よりも効果があることも報告されている2).しかし,これまでの報告は音リズムに歩行訓練を合わせた課題だけの結果のみであり,音リズム刺激のみの効果について調べた報告はない.したがって,パーキンソン病に対する音リズム刺激のみの効果を検討することはその機序を考察するうえでも試みられるべきと考えられる.
本研究では,歩行障害を有するパーキンソン病患者に対して,歩行訓練を行わないで,音リズム刺激のみによる効果の有無を調べ,その有用性を検討することを目的とした.また,パーキンソン病患者はしばしば抑うつなどの精神症状を伴うことがあり,歩行障害だけではなく,抑うつに対する効果についても検討を加えた.
Copyright © 2004, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.