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はじめに
あれから10年目を迎えようとしている.1995年1月17日,午前5時46分,マグニチュード7.2の直下型大地震が阪神地方を襲った.死者5,348人,負傷者3万3,222人,倒・損壊家屋は10万9,464棟,このなかに多数の脳卒中患者が含まれていた.
避難するとき瓦礫に躓き,良いほうの足を骨折/避難所に行けと言われても家屋と電信柱が倒れ,杖では歩行は困難/避難先のトイレに洋式がなかったのでつらい生活でした/避難先から家に戻ったが,自宅が燃えてなくなっていた/タンスの下敷きとなり,不自由な体では這い出すことができない/テレビが飛ぶように横滑りし杖が二つに折れていた/1階が崩れ主人と埋まり,2時間後に助けられたが,失語症で体が不自由な主人は亡くなっていた/家が傾きタンスが倒れ,家具のガラスが飛び散りテレビが仰向けで杖がどこにいったか分からず,余震のたびに「お父さん一緒に死のうね」と布団のなかで手を握り合っていた/車椅子では避難することもできず倒壊した家屋を見ながら震えていた.
地震から1週間目に電話回線が復旧し,被災地の脳卒中患者72人に電話を掛けたが半数しか通じず,お見舞をしたところ悲惨な状況が伝わってくる.薬がない,水がない,病院が焼け,脳卒中患者として必要なもの全てがなくなっていた.
当時は患者会の全国組織がなく,都道府県に存在する「脳卒中者友の会」へ被害状況と被災した仲間の状態を知らせ,救援を呼びかけ義援金を募ったところ百万円を越えるあたたかい励ましが集まり,被災地区の友の会へ配分した.しかし,被災状況が報道されるなかで,障害者団体で支援活動と復興支援がないのは「脳卒中患者会」の団体だけだと痛感した.これがきっかけとなり,全国組織が必要だということで会議を持ち,「全国脳卒中者友の会連合会」の結成につながった.
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