特集 脳卒中―社会生活を支援する
作業所活動による生きがいづくり
木村 敏子
1
1社会福祉法人「麦の会」
キーワード:
作業所活動
,
生きがいづくり
,
「麦の会」
Keyword:
作業所活動
,
生きがいづくり
,
「麦の会」
pp.1141-1144
発行日 2004年12月10日
Published Date 2004/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552100679
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「麦の会共同作業所」のあゆみ
1985年,脳卒中友の会としての患者会「むぎの会」が結成された.会の活動のなかから「働きたい,働く場がほしい」という声が高まり,病院の一室を借りて軽作業や自主活動を行いながら,関わる医療関係者の応援を受けつつ行政との交渉を重ねた.1987年,堺市の助成を受けて,中途障害者の作業所「麦の会共同作業所」(以下,当作業所)が開設された.患者自身が自ら立ち上げた画期的な成果であった.当時はまだ中途障害者という言葉も耳慣れないものであり,地域で適切な通所施設もなかった.
参加者は脳卒中患者中心であったが,障害者制度利用の観点から60歳までの障害者全般に対象を広げ,現在は多様な障害をもつ人達が70余名通所している.そのうち,脳卒中患者の占める割合は68%である.
現在は地域の人達の協力を得て,作業所として新築した本部と空き家2軒を借りて3か所の作業所で活動している.
1988年には後援会が結成され,イベントやバザーを行いながら中途障害者への理解と協力を社会に向けて訴え,作業所への資金援助を行っている.また,地域に根差す作業所を目標に,夏祭りなど地域自治会活動に参加したり,地域の小中学校の学外研修や看護学校の研修の場として作業所を開放している.
2003年,社会福祉法人開設と同時に,家族会,職員組合を再編成し,新たに通所者自治会を発足させ,運営への参画を目指している.
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