Japanese
English
講座 運動学習とリハビリテーション 2
運動学習における大脳基底核の役割
The role of the basal ganglia in motor learning.
長谷 公隆
1
Kimitaka Hase
1
1慶應義塾大学医学部リハビリテーション医学教室
1Department of Rehabilitation Medicine, Keio University School of Medicine
キーワード:
運動学習
,
大脳基底核
,
強化学習
Keyword:
運動学習
,
大脳基底核
,
強化学習
pp.751-757
発行日 2004年8月10日
Published Date 2004/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552100631
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はじめに
運動学習とは,ある特定の行動(performance)において,その成果(outcome)を変えるために再現性をもって運動を変容させることである.学習に基づく行動の変化には,成果を得るために運動の順序や種類を選定していく過程(acquisition)と,運動を力学的に適応させる過程(adaptation)とがあり1,2),大脳基底核は主に前者に関与する.すなわち,ある行動を行うことによってどのような成果が得られるかを予測(prediction)し,その成果と予測とが一致するようになるまで運動を変化させ,そして習得された運動を記憶・再現することである3).
運動学習におけるこれらの機能的役割を理解するためには,第1に,大脳基底核がどのような神経回路によって随意運動の制御に関係しているのかを解剖学的に把握すること,第2に,運動学習に際して活動し,学習を終えると活動がなくなる神経回路を神経生理学的に検出すること,第3に,運動学習を促通する神経学的な強化因子を明らかにすることが重要である1).
本稿では,大脳基底核疾患における症候学的な議論やリハビリテーションについては言及せず,動物実験による基礎的研究を中心に,大脳基底核と運動学習に関する最近の知見をレビューする.
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