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はじめに
関節リウマチ(RA)は慢性,進行性の疾患であり,その治療においては,薬物療法,外科治療とリハビリテーションをうまく組み合わせることが重要である.最近,RAの治療戦略は大きく変化し,早期に強力な薬物療法を行うことが一般的になっている.そのために,RAの早期診断と活動性評価,リハビリテーションや運動療法の役割や効果を正確に評価することが必要とされている1).
RAの進行度や治療効果を判定する尺度としてさまざまな指標が用いられているが(表),なかでも放射線学的評価法は客観性のある有力な方法の一つである.これまでに,X線検査による定量的な関節スコアがいくつも開発されてきた.よく用いられるSteinbrockerの方法は,手と手関節の全体的な所見を4段階に分けて評価する方法で,よく用いられる方法であるが,多くの限界がある.定量的な骨病変評価法として,SharpやKayeらによりエロージョンや関節裂隙狭小化を点数化して評価するdetailed scoring methodがあり,これは薬物治療効果判定に用いられている.
単純X線で評価できる変化は,骨のエロージョン,関節周囲の骨萎縮,関節裂隙狭小化,ならびに関節変形であり,これらの変化は蓄積された関節破壊の総和を示すものでしかない.さらに,X線検査によるエロージョンの検出能は低く,病初期の変化を捉えることはできず,一定の破壊が起きた後の変化を評価することもできない.また,X線検査の感度は低く,薬物治療効果判定にSharpらのscoring methodを用いた場合,多数の患者を長期間追跡することが必要とされている.
発症早期から強力な薬物治療を開始することがRA治療の基本戦略となった現在,早期RAの診断法,より感度の高い治療効果判定法を開発する必要性が高まり2),そのため単純X線よりも広いダイナミックレンジと良好な応答性をもつ画像診断法が求められているが,magnetic resonance imaging(MRI)は現状ではその要求を満たした唯一の画像診断法と考えられる.
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