実践講座 嚥下障害 5
気管切開管理と手術的治療法の選択
鈴木 康司
1
,
堀口 利之
2
Yasushi Suzuki
1
,
Satoshi Hoeiguchi
2
1河北総合病院耳鼻咽喉科
2北里大学医療衛生学部リハビリテーション科
1Department of Otorhinolarymgology, Kwakita General Hospital
2Speech Therapy Course, Department of Rehabilitation, School of Allired Health Sciences, KItasato University
キーワード:
気管切開
,
気道管理嚥下障害
,
手術
Keyword:
気管切開
,
気道管理嚥下障害
,
手術
pp.453-459
発行日 2004年5月10日
Published Date 2004/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552100580
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はじめに
嚥下障害患者に行われる外科的治療のなかで,気管切開術が最も多いことは論を俟たないであろう.しかしながら,施設間でその管理方法はまちまちであり,リスクの高い場面に出合わすことも少なくない.本稿では気管切開の管理およびその注意点を中心に述べ,併せて他の手術的治療法についての概略を述べる.
そもそも気管切開術は,呼吸困難症例に対し気管を開窓して気道を確保する目的で,一般的に広く行われているが,その歴史はきわめて古く3600BCに遡ると言われている.現在の術式が確立されたのは,1940年代に小児麻痺の世界的大流行の際に,気道管理の必要性から,Chevalier Jackson(1865-1958)らによって広められたことが大きい.
また,気管切開術後の気管切開孔の管理に用いられる気管カニューレ(以下,カニューレと略)は,16世紀にFabricius ab Acquapendente(1537-1619)によって気管内に滑り込むことを防ぐための2つの翼のついた套管が考案され,先のChevalier Jacksonにより,現在使用されているカニューレの原形が完成したと言われている.
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