Sweet Spot 映画に見るリハビリテーション
「座頭市」―オマージュという倫理性が毒を消す
二通 諭
1
1千歳市立北進中学校
pp.183
発行日 2004年2月10日
Published Date 2004/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552100551
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私の娘が小学生だった頃,勝新太郎の「座頭市」を観て,「お父さん,この人ぜったい目が見えている」と言っていたことを思い出す.そうなのだ,ビートたけし主演の「座頭市」(監督・脚本・編集/北野武)は目が見えているというところに着眼した.小学生的眼力をもって臨んだ新解釈バージョンの作品なのだ.
「丹下左膳」,「座頭市」に代表されるハンディキャップ・ファイターものは70年代以降の人権意識の高まりとともに衰退していった.無敵の強さを誇るだけでなく,差別的言辞を浴びせられてもサラリと受け流す度量の広さがハンディキャップ・ファイターの真骨頂であるがゆえに,差別語淘汰の流れはキャラクターの造形を困難なものにさせた.そのような状況下での北野版「座頭市」である.
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