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はじめに
リハビリテーション医学の分野において,手術前後の呼吸リハビリテーション,慢性閉塞性呼吸器疾患の在宅酸素療法,スポーツ競技など全身持久力運動における呼吸循環応答など,呼吸に対するアプローチは重要な位置を占めている.急性期・慢性期呼吸疾患を問わず,呼吸筋エクササイズとして腹式呼吸(横隔膜呼吸)運動を第一選択とするリハビリテーションスタッフも少なくない.呼吸はガスを取り込む吸息運動と排出する呼息運動とに分けられる.さらに,吸息運動は胸郭の前後径および左右径を増大させる肋骨呼吸運動と上下径を増大させる横隔膜運動によって行われる.横隔膜運動の主動作筋である横隔膜(図1)は胸腔と腹腔を境する横紋筋であり,ヒトにおいて全表面積が約270~300cm2,収縮により約1~1.5cm下降し,その動きによる容積変化は350~400mlとなる.安静時1回換気量におけるその貢献度は60~80%とも言われ,呼吸運動における最も重要な筋である1).したがって,呼吸リハビリテーションを理解するうえで,この横隔膜に関する研究は不可欠である.
ラット横隔膜に関する多くの研究は,その機能的・形態的特徴から呼吸による筋活動量の定量化や神経筋標本としてin vitroの実験系など,電気生理学的分野から研究されることが多かった.また,横隔膜におけるミオシン重鎖(Myosin Heavy Chain;MHC)アイソフォームの詳細な分析は,Powersら2,3)によって報告された.しかし,出生直後から発達過程における横隔膜筋線維を組織化学・生化学的手法を用いて統合的に分析したものはない.本研究の目的は,組織化学・生化学的手法を用いて横隔膜筋線維組成を明確にすること,また出生直後からの発達過程における横隔膜の変化を分析して検討することである.
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