視覚的および聴覚的注意が手指タッピング運動に及ぼす影響

The influence of visual attention and auditory attention on finger tapping movement.

要旨：本研究の目的は，手指タッピング運動中に，視覚的および聴覚的注意刺激を与えることにより，タッピング間隔に変化が生じるかを検証することとした．被験者は健康な大学生20名（男性13名，女性7名，平均年齢21.0±2.1歳）とし，まず注意刺激のない基準条件にて任意のリズムでタッピングを行い，次に視覚的および聴覚的注意条件にてタッピングを行った．タッピング間隔は各タッピングの圧入力時点の時間間隔を計測し，各条件間にて反復測定一元配置分散分析および多重比較としてTukey HSD法にて分析した．その結果，タッピング間隔は，基準条件と比較して視覚的および聴覚的注意条件にて有意な短縮が認められた（p＝0.0003）．今回の結果から，基準条件と比較して，視覚的および聴覚的注意刺激条件において，手指タッピング間隔が乱されることが明らかとなった．