巻頭言
リハビリテーションの「道案内」
大仲 功一
1
1茨城県立医療大学付属病院
pp.215
発行日 2007年3月10日
Published Date 2007/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552100480
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診療報酬の誘導もあり,急性期からのリハビリテーションが普及してその成果は現れつつあるように思われる.また,回復期リハビリテーション病棟の創設によってこの時期のリハビリテーションも着実に充実が図られてきた.一部で導入が始まっている地域連携クリティカルパスなどにより,施設間の患者の円滑な受け渡しも進んでいくだろう.これらの状況を見る限り,リハビリテーション(医療)は患者・障害者にとって良い方向に向かっているようである.しかしそこには盲点があるように思えてならない.彼らは回復期,維持期と称される各ステージのリハビリテーションに遅滞なく(半ば急かされるように)誘導され,その時その時の状況に応じた施設や制度を次々に渡り歩いていくことになる.そこには医療,介護にとどまらず,福祉,教育,労働分野など多岐にわたる選択肢が用意されているが,彼らにとって自らの進むべき道や立ち寄り先を的確に選択することは容易なことではない.例えるなら,見ず知らずの異国の地に一人で放り出されたようなものである.彼らが路頭に迷ってしまわないように案内を行う知識や経験の豊富なガイド(道案内)が必要である.
もちろん,彼らが進んで行く先々で親切に案内をしてくれる人は少なからずいるだろう.しかし,異国の地を一緒に歩きながらガイドをしてくれる人はいるだろうか.運に恵まれた人なら家族や友人がその役割を果たしてくれるかもしれない.患者会・家族会などもその一種と言えるかもしれない.しかしながら,家族や周囲の人々が一緒になって道に迷ってしまっているようなケースに遭遇することもまれではなく,その対応に苦労した経験を誰もがもっていることだろう.
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