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はじめに
橈骨遠位端骨折患者のリハビリテーションは,疼痛,可動域制限を改善し,日常生活や職業のなかで役立つ手の機能の再獲得を目的に行われる.当院では,橈骨遠位端骨折患者のリハビリテーション開始時期は,解剖学的整復後,骨癒合がある程度得られたギプス除去後に処方されていた.
その結果,開始時には,固定していなかった肩関節や肘関節の可動性が制限される患者や,手指の浮腫や痛みを伴うRSD1)(reflex sympathetic dystrophy)の症状を呈する患者がみられた.そのような患者は,“ギプス固定中に全く手を動かしていなかった”という共通の背景があり,その後の経過で,治療は難渋し,機能回復まで時間を要した.
橈骨遠位端骨折について調べると,整形外科医の立場から,患者の術後成績について数多く報告されている2-10).骨折の程度,タイプ,または骨折後の解剖学的整復と予後について研究されている.
しかし,セラピストの立場から,関節可動域(range of motion;ROM),握力,日常生活動作(activities of daily living;ADL)などの回復経過や,治療成績について報告された文献は少ない.
そこで,受傷後早期のギプス固定期からリハビリテーションを実施し,患肢の運動,管理方法について指導を行えば,RSDなどの合併症状や関節拘縮を予防でき,その後のリハビリテーションプログラムも円滑に進むのではないかと考えた.また,機能回復の経時的変化を具体的に把握できれば,今後のリハビリテーションプログラム立案の参考になると考えた.
今回,橈骨遠位端骨折患者を対象に早期作業療法(以下,OT)を実施し,従来どおりギプス除去後に実施した群と比較し,経過についてまとめたので報告する.
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