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研究と報告
骨盤挙上時における腰背筋群の等尺性収縮が同側上肢脊髄運動神経機能に与える影響―F波における検討
Effects of voluntary isometric contraction in low back muscles of pelvis elevation on spinal motor neuron function of upper limb: F wave study.
弓永 久哲
1
,
鈴木 俊明
1
Hisanori Yuminaga
1
,
Toshiaki Suzuki
1
1関西鍼灸大学
1Kansai College of Oriental Medicine
キーワード:
F波
,
腰背筋
,
脳血管障害片麻痺患者
Keyword:
F波
,
腰背筋
,
脳血管障害片麻痺患者
pp.577-584
発行日 2006年6月10日
Published Date 2006/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552100322
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はじめに
脳血管障害片麻痺患者にみられる連合反応の定義は,「ある一肢の筋群からおきて他肢の筋群に作用する緊張性反射」とされている1).臨床場面においては,四肢筋群の筋収縮が連合反応を誘発させるだけでなく,体幹筋,とくに腰背筋の筋緊張が著明に亢進していることにより,上肢の連合反応が誘発されていると考えられる症例を経験することは少なくないと思われる.筆者らは,この現象を明らかにするため腰背筋と麻痺側上肢筋群との関連性を表面筋電図を用いて検討した.その結果,腰背筋の筋活動と同期するように麻痺側上腕二頭筋の筋活動が生じることが明らかにされ,腰背筋の筋緊張亢進により麻痺側上肢の連合反応が出現することを客観的に示すことができた2).また,治療場面においても,筋緊張亢進筋である腰背筋の抑制を行った結果,麻痺側上肢の連合反応の軽減がみられ,腰背筋を含む体幹筋の筋緊張を正常に保つことが重要であることが示された.
そこで,本研究は,この現象の出現機序を神経生理学的に明らかにするための基礎的研究とし,健常者を対象として腰背筋の筋収縮時に上肢筋に対応する脊髄神経機能の興奮性を検証するためF波を用いて検討した.誘発筋電図検査は,理学療法領域での研究に幅広く用いられており,脳血管障害片麻痺患者の機能評価や理学療法効果の科学的裏づけに広く用いられている.とくに,脊髄神経機能の興奮性を検査するにはF波とH波が利用できるが,H波は上肢遠位筋での導出が困難であることから,今回はF波を用いて検討した.本研究結果より,脳血管障害片麻痺患者の腰背筋群と麻痺側上肢の連合反応との関連性を推測しようと考えた.
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