巻頭言
回復期リハビリテーション病棟の転帰と転機
宮井 一郎
1
1特定医療法人大道会森之宮病院
pp.309
発行日 2006年4月10日
Published Date 2006/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552100277
- 有料閲覧
- 文献概要
回復期リハビリテーション(以下,リハ)病棟の数は,2000年4月以来増加し続け,2005年11月には,ついに全国で3万床を越え,人口10万あたり25床になった.脳卒中に限れば,人口10万人あたり年間200人の発症とすると,最重症例や軽症例,急性期治療著効例を除くと約半分が回復期リハの適応となると考えられる.回復期リハ病棟の平均在院日数は3か月弱でベッドが年間4回転するので,脳卒中に限ると単純計算では人口10万あたり25床で足りることになる.分布に地域格差はあるものの,今後在院日数が短縮して2か月弱となれば,大腿骨頸部骨折等の他の適応疾患を含めても十分な病床数となる.したがって,既存の病棟や地域リハとの比較において,回復期リハ病棟に入院して行うリハのメリットが出せない場合には厳しい時代になるであろう.
回復期リハ病棟のリハ医療における優位性としてまず考えられるのは,十分な介入量の提供と専任スタッフによるチーム医療である.これらはスタッフ数,1日あたりのリハ時間や病棟での自主練習の時間などである程度数値化が可能である.介入の質に関しては,客観的評価が難しい.セラピストの経験年数や課題指向型の日常生活動作の練習に費やされる時間などが一つの指標になるかも知れないが,これには異論もあろう.もう一つの重要な要素は,いかに早期に患者を受け入れ,多角的リハ介入を開始するかであろう.欧州の脳卒中ユニットのように,一施設完結型診療が可能なスタッフが充実した急性期病院が少ない現状では,できるだけ早期に回復期リハ病棟に移ることが望まれる.私どもの施設でも発症後1週間前後で紹介・転院される例が,最近,少しずつ増加している.
Copyright © 2006, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.