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はじめに
ポリニューロパチーとは多発性に生じる末梢神経炎のことを指し,多くの場合,運動・感覚神経が左右対称性に侵される.近位よりも遠位の神経が優位に障害されることが多いが,正常領域との境界はしばしば明瞭でない.原因として遺伝性,炎症性,中毒性の他,膠原病,代謝・内分泌疾患,腫瘍に伴うニューロパチーがある.症状や経過は原因によって比較的特異的であり,問診,神経学的診察,筋電図検査等によりおおよその診断ができる.電気生理学的検査,とくに神経伝導検査は軸索変性が主体なのか,脱髄が主体なのかを明らかにすることができるため,予後を予測するうえで必須の検査と言える.
ポリニューロパチーのリハビリテーションを考える場合,病態の自然経過が回復・固定型なのか,慢性進行型なのかによって基本的な対応が異なる.例えば,ギラン・バレー症候群(Guillain-Barré syndrome;GBS)は脱髄型,軸索障害型にかかわらず,ある程度の自然回復が期待できるため,機能の再獲得を念頭に置きながらリハビリテーションプログラムを進める.一方,遺伝子異常により遺伝性ニューロパチーを起こすCharcot-Marie-Tooth病では,末梢神経障害が遠位筋から緩徐に進行するため,長期的な筋力低下が避けられず,機能維持あるいは機能低下の軽減を目的にリハビリテーションを行う.したがって,ポリニューロパチーの診断を下すとともに,その疾患が回復・固定型なのか,慢性進行型なのかを見極めることが肝要となる.
本稿では,ポリニューロパチーのリハビリテーションで比較的よく遭遇するGBSの最近のトピックスや実際例を中心に概説し,慢性炎症性脱髄性ポリニューロパチー(chronic inflammatory demyelinating polyneuropathy;CIDP)や,最近概念が確立され本邦でも報告が散見されつつあるcritical illness polyneuropathy(CIP)についても言及したい.
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