Japanese
English
講座 排尿障害 3
高齢者の機能的尿失禁
Urinary incontinence in the elderly.
浜 達哉
1
,
鳥羽 研二
2
Tatsuya Hama
1
,
Kenji Toba
2
1介護老人保健施設まほろばの郷リハビリテーション部
2杏林大学高齢医学教室
1Department of Rehabilitation, Geriatric Facilities Mahoroba-no-sato
2Department of Geriatric Medicine, Kyorin University School of Medicine
キーワード:
高齢者
,
機能性尿失禁
,
排尿誘導
Keyword:
高齢者
,
機能性尿失禁
,
排尿誘導
pp.243-249
発行日 2006年3月10日
Published Date 2006/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552100264
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はじめに
高齢者在宅住民の5~15%,施設入所者では30~80%に尿失禁がみられ,80歳以上では在宅住民の5人に1人はオムツをしている1).
機能性尿失禁とは,「高齢者に特徴的な尿失禁で,下部尿路に器質的な障害はないが,認知症による排尿習慣の喪失やADL(activities of daily living)の低下,住環境や衣服の種類,介護力などが密接に関与した失禁である」2).下部尿路に器質的な障害を有する,切迫性尿失禁や腹圧性尿失禁,溢流性尿失禁とは異なるが,実際にはこれらのタイプが重複している場合が多い.尿意を感じても急いでトイレにたどり着けなかったり,認知症のため尿意を周囲の人にうまく伝えられない,便所などの位置が分かりにくい,または便所などが遠くにあるなどの悪条件が尿失禁をさらに増長させている2).
Pannillら3)は,長期介護施設における尿失禁では,器質性尿失禁として過敏性膀胱が30%と多いものの,それよりはるかに非泌尿器科的失禁の頻度が高く,認知症やADLの低下,薬剤性尿失禁の重要性を指摘している(表1).鳥羽らの調査4)でも,老人病院入院患者の尿失禁のうち,1/3以上は下部尿路に異常がみられず,機能性尿失禁が半数以上を占めていた.
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