Sweet Spot 映画に見るリハビリテーション
「スクール・ウォーズ HERO」・「コーラス」―“共通感覚の形成”という教育学的真実を抽出
二通 諭
1
1千歳市立北進中学校
pp.195
発行日 2006年2月10日
Published Date 2006/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552100256
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大学4年の秋のこと.曲がりなりにも教師をめざす身だし,ここは教育学の古典に挑戦するべきだと思いアルバイトに精を出して全集物を買い込んだ.まずはマカレンコの『教育詩』から読み出したのだが,これは言わずと知れた第一次世界大戦からロシア革命へと続く社会的混乱のなかから生み出された浮浪児や触法行為に走る青少年に対する教育実践ドキュメント.なるほど人格形成の教育とはこのようになされるものなのかと深い感銘を受けた.1920年代の話である.
70年代の実話を映画化した「スクール・ウォーズ HERO」(監督/関本郁夫)の高校校内暴力もかなり凄まじい.廊下をバイクで乗り回しながらガラスを叩き割る,先生の服に火をつけるなど,近年話題の行為障害以上である.この頃の校内暴力には行為障害等の診断名はつかなかったであろうし,ツッパリという青年文化のなせるわざとして認識されていたはず.事実,熱血教師が指導するラグビーによって見事に矯正されていくのだから,問題の本質を「個の素因」ではなく環境に還元することができた.
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