Japanese
English
講座 膠原病最前線 4
血管炎症候群
Vasculitis syndrome.
三森 明夫
1
Akio Mimori
1
1国立国際医療センター膠原病科
1Department of Collagen Disease, International Medical Center of Japan
キーワード:
結節性多発動脈炎
,
ウェジナー肉芽腫症
,
チャーグ・シュトラウス症候群
,
高安動脈炎
,
バージャー病
Keyword:
結節性多発動脈炎
,
ウェジナー肉芽腫症
,
チャーグ・シュトラウス症候群
,
高安動脈炎
,
バージャー病
pp.343-347
発行日 2005年4月10日
Published Date 2005/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552100079
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はじめに
血管炎症候群は,血管壁内に炎症細胞すなわち白血球が浸潤し,虚血ないし梗塞を起こすことによって臓器障害を呈する疾患の総称である.ウイルス,細菌などの病原体が原因になることもあるが,多くは原因不明で自己免疫疾患と考えられている.したがって治療は,副腎皮質ステロイド薬,免疫抑制薬の投与が主体となる.生じる障害は,疾患単位によって,また同一疾患でも罹患臓器によって異なり,多彩であるが,いずれの症状も臓器栄養血管の虚血・梗塞,または壁破壊による出血として理解できる.末梢神経障害または中枢神経障害による運動・知覚麻痺,心筋梗塞,腎障害,間質性肺炎,肺出血,皮膚潰瘍,腸管壊死などが,主なものである.
リハビリテーションの観点からは,神経障害の残存,重度の皮膚潰瘍・壊死で肢切断に至った場合が重要な対象となり,内科的治療の継続の必要性,再発の可能性,心・肺・腎など重要臓器の機能予後,生命予後を考慮しながら,生活指導を進めることになる.関節リウマチと異なり,血管炎では,関節炎を生じても一過性で,機能上の問題になることはない.治療に用いたステロイド薬の副作用による高血圧,糖尿病,高脂血症,肥満,ステロイドミオパチー(下肢近位筋脱力)などもしばしば問題となる.
血管炎症候群は,罹患血管の分布1),および発症年齢にそれぞれ特徴があるので,これを含めて各疾患の病像を概説し,機能予後の問題を記述する2).
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