Close-up 物理療法と運動療法の併用
全身振動刺激と運動療法の併用
小宮 諒
1
Makoto KOMIYA
1
1新潟医療福祉大学リハビリテーション学部理学療法学科
キーワード:
物理療法
,
全身振動刺激
,
振幅
,
振動周波数
Keyword:
物理療法
,
全身振動刺激
,
振幅
,
振動周波数
pp.808-812
発行日 2024年7月15日
Published Date 2024/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551203521
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全身振動刺激の特徴
現在の全身振動刺激(whole body vibration)は,主に身体機能の改善を補助・加速させる物理療法という位置づけで用いられることが多く,運動療法(運動やストレッチングなどを含む)と併用することでその真価を発揮する.特に,全身振動刺激を利用した運動の実施は,全身振動刺激機器を使用しない運動と比較して,バランス能力,跳躍高,筋力や筋パワー,神経筋機能などの身体機能の向上や改善につながることが知られている1).最近では,これまで関連が指摘されるにとどまっていたヒトの脳活動への影響に関する具体的な報告も増えてきた.前頭前野,運動野,体性感覚野で脳活動の活性がみられ2),軽度認知症患者の認知機能改善につながることもわかってきた3).
全身振動刺激の作用機序については,振動プレートから筋や皮膚受容器へと伝わる振動刺激が緊張性振動反射(tonic vibration reflex)を引き起こし,筋機能が高まることで身体機能の改善につながると考えられている(図)4).緊張性振動反射は,骨格筋に振動刺激を加えた際に生じる反射性の単シナプス反応で,筋紡錘中のIa群線維からの求心性インパルスがα運動ニューロンを興奮させ,遠心性インパルスによって筋収縮が生じる.また,このときγ運動ニューロンも遠心性インパルスを発生させており,錘内線維を収縮させ,筋紡錘中のIa群線維が求心性インパルスを生じている.ほかの固有感覚受容器からの求心性信号も中枢神経系を介し,筋活動を誘発させていると考えられているが,脳機能で生じている作用機序はいまだ不明な点が多く,今後具体的な機序の解明が進んでいくと思われる.
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