焦点 看護学におけるTranslational Research─振動による褥瘡の治療促進をめざした機器開発・検証のプロセス
【証明─振動による効果の検証:臨床試験パート1】
振動によるStage I褥瘡の治癒促進効果
須釜 淳子
1,2
,
嵐 碧
3
1金沢大学医薬保健研究域保健学系臨床実践看護学講座
2東京大学大学院医学系研究科健康科学・看護学専攻アドバンストスキンケア(ミスパリ)寄附講座
3前・金沢大学大学院医学系研究科保健学専攻博士前期課程
キーワード:
振動
,
Stage I褥瘡
,
物理療法
,
高齢者
,
非ランダム化比較試験
Keyword:
振動
,
Stage I褥瘡
,
物理療法
,
高齢者
,
非ランダム化比較試験
pp.465-471
発行日 2010年10月15日
Published Date 2010/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681100474
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
臨床アウトカムを評価する
前稿で,ヒトに加振を行なう機器(リラウェーブ,マツダマイクロニクス)の開発と下肢血行を促進させる加振条件が明らかになったことを述べた。実験室実験を終え,次の段階として,実際に下肢血行促進を必要とする病態をもつ高齢者に対するアウトカムを評価する段階に移行する。
まず,開発した振動器によって,健康成人同様,加振した際に高齢者の下腿部血流が促進するか,また安全であるかを確認した(北川ら,2006)。下肢に血流障害がない寝たきり高齢者10名に対し,振動数47Hz,15分で下腿に加振した結果,振動前と比べ振動後に有意に大伏在静脈の血流が上昇していた(p=0.038)。また,加振中に心身に不調を生じた高齢者はなく,安全性も確認できた。
Copyright © 2010, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.