Close-up 振動刺激
振動刺激と姿勢制御
伊藤 忠
1
Tadashi ITO
1
1愛知県三河青い鳥医療療育センター三次元動作解析室
キーワード:
高齢者
,
腰痛
,
バランス
,
固有感覚
,
局所振動刺激
Keyword:
高齢者
,
腰痛
,
バランス
,
固有感覚
,
局所振動刺激
pp.310-313
発行日 2020年3月15日
Published Date 2020/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551201835
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はじめに
固有感覚障害による姿勢不安定性は腰痛のある人々で確認されており,これらの障害は腰痛の原因とメカニズムに関連している可能性があることが示唆されている1〜5).また,腰痛のある人々では,背筋の持久性の減少,疲労の増加から固有受容器のコントロールに悪影響を及ぼす可能性があると言われている5,6).さらに,高齢の腰痛患者においては,固有感覚低下によって,より姿勢制御が不安定になることが明らかとなっている1,7, 8).これらの固有感覚障害の評価には,局所振動刺激を利用した方法が多く用いられている.
交感神経系の固有感覚に対する影響には,骨格筋の血流減少による間接的な影響だけでなく,筋長の変化に対する感度を弱める可能性があると考えられている5,9).また,傍脊柱筋の筋紡錘は,腰部の生理学的な可動範囲内で負荷を受け,腰部最長筋と多裂筋の筋紡錘は脊椎の運動速度や位置に敏感に反応すると言われている10,11).現時点では,姿勢制御にかかわる重要な受容器は筋紡錘と考えられているが,ファーター・パチニ小体などの皮膚受容器や関節受容器も姿勢制御に関係している可能性がある.
しかしながら,腰痛患者の固有感覚における皮膚の受容器の重要性を述べた姿勢制御の研究は非常に少ない7, 8).固有感覚障害による姿勢不安定性の評価には,下腿と腰部に対して局所振動刺激を与える方法が用いられている.本稿では,局所振動刺激を用いた評価方法で,腰痛患者を中心に固有感覚の機能低下による姿勢制御について述べる.
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