Close-up 筋力評価—○○と組み合わせると何がみえる?
体重からみた筋力評価
山本 利春
1
Toshiharu YAMAMOTO
1
1国際武道大学体育学部
キーワード:
筋力評価
,
下肢筋力
,
体重
,
体重支持指数
,
Weight Bearing Index
,
WBI
,
体重支持
Keyword:
筋力評価
,
下肢筋力
,
体重
,
体重支持指数
,
Weight Bearing Index
,
WBI
,
体重支持
pp.958-963
発行日 2023年8月15日
Published Date 2023/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551203153
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下肢筋力と体重との関係からみた指標—体重支持指数(WBI)
運動の基本は体重の移動であり,自身の体重を支えるだけの十分な脚筋力があるかどうかを評価する必要がある.特に大腿四頭筋は,歩く,走る,跳ぶなどといった身体活動における下肢の基本的動作の主動筋であり,体重の支持,重心の移動,膝関節の安定性に重要な役割を果たす.それゆえに大腿四頭筋の筋力不足は,スポーツに多く見られる膝関節傷害を中心とした下肢のスポーツ傷害の要因として重要視されている.この大腿四頭筋の筋力評価は,体重支持力の評価とも言える.自分の体重を支えるだけの十分な筋力があるかどうかを評価することはスポーツ活動(または荷重運動)を安全に効率よく行ううえで重要な要件となる.
それではこの大腿四頭筋は,一般にどの程度の筋力を発揮できればよいのだろうか.スポーツ選手における大腿四頭筋の最大筋力(等尺性膝関節伸展筋力,膝関節70°屈曲位)と体重との関係は体重が重いほど筋力値が高く,両者は高い相関関係にある(r=0.7166,図11)).筆者らは「ヒトは体重に見合った脚筋力を備えているのではないか」という関心のもとに,スポーツ傷害をもたない健常なスポーツ選手600例について,大腿四頭筋の筋力(等尺性膝関節伸展最大筋力)を測定し,体重で除して体重1kg当たりの筋力(kg)を算出してみたところ,その平均は1.00(±0.2)kg/kgとなった1).体重当たりの値が1.00ということは,片脚で発揮される大腿四頭筋の筋力が,ほぼ自分の体重値と同じであるということになる.
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