連載 臨床研究のススメ—エビデンスを創ろう・第2回
シングルケースデザイン
久保田 雅史
1
Masafumi KUBOTA
1
1金沢大学医薬保健研究域保健学系
pp.211-217
発行日 2023年2月15日
Published Date 2023/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551202950
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はじめに
シングルケースデザインは,一般的にsingle case experimental design(SCED)と表され,少数の症例(1〜3名程度)を用いて理学療法の有効性を検証するために用いられる実験方法である.理学療法士自身がエビデンスを構築し,最良の根拠を患者・利用者と共有し,意思決定していくことが求められているなかで,理学療法の有効性を検証する手段の1つである.
近年,シングルケースデザインの重要性が再確認されてきている.その理由の1つ目としてthe Oxford Centre for Evidence-Based Medicine1)においてシングルケースデザインの1つであるN-of-1 trialが,ランダム化比較試験(randomized controlled trial:RCT)の系統的レビューと並んで最高位のLevel 1に位置づけられたことが挙げられる.2つ目に,シングルケースデザインの質を評価するツール,ガイドラインなどが整備され,研究デザインの基準が明確となってきている点が挙げられる2〜4).3つ目として,後述するが,統計的手法が発展してきている点も挙げられる.理学療法士にとって身近で,臨床現場で活用しやすいのがシングルケースデザインであり,エビデンス創りにぜひ活用していきたい.
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