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編集後記
網本 和
pp.1164
発行日 2021年10月15日
Published Date 2021/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551202473
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「手当」という言葉は,昨今の状況では休業要請に対する金銭的補填のことを思い起こす方も多いでしょうが,古来より信仰的,治療的な行為を指していたことは周知のことと思います.文字通り患部に手を当てることが痛みを緩和することはよく知られていますが,そのことにとどまらず,手を当てること,すなわち触れることの意味は多彩で奥深いと思われます.そこで本号の特集は「タッチ—触れることと触れられること」とし,心理学,生理学,工学,医学などの幅広い領域からの興味深い論文が掲載されています.
例えば「触れることと触れられること—動くことの意味(樋口・他論文)」では,ダイナミックタッチの意義について解説していただき,「理学療法士のタッチと癒し効果(山口論文)」 では,疼痛やストレス緩和における「間主観的タッチ」について紹介されています.さらに「体性感覚情報処理と脳活動(大西論文)」では,動的触圧覚の識別に関する脳活動を述べていただき,「VR空間におけるタッチ(河合論文)」では,VR空間におけるさまざまな感覚システムの最新知見を解説していただきました.このほか臨床的視点から「痛みとタッチ(内藤・他論文)」,「ライトタッチと姿勢・歩行バランス(新井・他論文)」,「タクティール®ケアから学ぶタッチ(神谷論文)」,「動作誘導とタッチ(冨田論文)」というラインアップとなっています.どれも大変な力作であり,ぜひ手にとってこれらの論文を味わっていただきたいと思います.
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