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編集後記
網本 和
pp.896
発行日 1998年11月15日
Published Date 1998/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551105194
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インフォームド・コンセントという言葉がこれ程までに巷間に知れ渡ったときは,現在においてほかにないでしょう.少なくとも筆者がこの言葉を明確に意識したのは,「人体実験」にかんする砂原先生の記述(臨床医学研究序説)を読んだ1980年代の後半だと思われます.特に双盲法におけるインフォームド・コンセントのありかたには当時少なからずパターナリズムの影響下にあったものにとっては実に感銘の深い経験でした.
それから随分と時間がながれ,これまでにも多くのインフォームド・コンセントについての議論がなされてきたことは周知のとおりです.そこで本号の特集ですが,これらの先行する報告を踏まえての問題提起と実践課題が示されています.詳細は直接各論文にあたっていただくとして,特に興味深い記述は加藤先生が指摘されている「インフォームド・コンセントが医師の患者に対する責務であり,サービスではない」ということです.想者サービスと思い込むことが決定的な誤解を生じる,とは実に的を射ているといえます.
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