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編集後記
網本 和
pp.854
発行日 2001年11月15日
Published Date 2001/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551105934
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「1例恐るべし」とは砂原先生の言葉である(臨床医学研究法序説).さまざまな治療の客観的効果を実験的に検証すべきであるとの主張の文脈で,しかし臨床家であれば,どんな教科書の示すところよりも,たった一例の自分の受け持った患者さんの経験がものをいう,それゆえ「恐るべし」なのである.
症例報告はどちらかといえば,実験的研究に比べてややもすると科学的論拠に乏しいものと考えられがちであったことは否めない.しかし石倉論文が指摘しているように,「さまざまな症例の客観的・科学的データの蓄積が不可欠で,この蓄積こそがEBMを行う基礎と」なるのであって,むしろ日々の臨床経験の中にこそ重要な意味が横たわっていると考えられよう.このような認識に基づいて本号の特集「症例報告」は企画されたのである.
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