連載 私のターニングポイント・第15回
憧れの存在になるためのターニングポイント
鳥居 和雄
1
1船橋市立リハビリテーション病院
pp.319
発行日 2021年3月15日
Published Date 2021/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551202248
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私が物心ついたときには,ホテルで料理長として働く父がいました.父の働いている姿が見たくて,ホテルの裏口から厨房に入りこみ,父の仕事を邪魔しながら度々のぞいていました.そこには,資格を取得したうえで日々努力と研鑽に励み,チームで声を掛け・助け合い,目の前のお客様に“おいしい”と思ってもらうため,幸せや喜びを感じてもらうために,一皿一皿に想いを込めて仕事をするプロの姿がありました.その中心で働く父に憧れ,いつか自分も人のために技術を磨く仕事につきたいと思っていました.
そんな想いのなか,高校1年のときに骨折をして理学療法士と出会い,理学療法士になりました.最初に就職した病院では初台リハビリテーション病院の理事長であり,現・会長である石川 誠氏が定期的に講演をしてくださっていました.ネアンデルタール人が障害をもった仲間と共同生活をしていたことや,仲間が亡くなったときには悲しみ花を手向けたという歴史にノーマライゼーションの精神.機能や能力・参加など机上の目標を見るのではなく,その人らしさの回復にリハビリテーションがあること.そんな熱い想いに触れ,当時石川氏が開設されたばかりの病院に見学に行きました.そこには建物やその構造,出てくる料理や教育システムまで,いたる所に法人の理念が現実として表現されていることに衝撃を受けました.さらに,そこで働く人たちの表情や接し方から,いつか憧れたプロの姿を思い出し,見学に行った帰り道,感動冷めやらぬなか,地元名古屋を離れ千葉県にある現在の職場に入職することを決意しました.
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