マイアミ留学記・その8
私の憧れの生活
谷原 秀信
1
1京都大学
pp.1969
発行日 1994年12月15日
Published Date 1994/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410908018
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はや留学も残り少なくなってきました。私の留学先である現在の研究室での毎日はとても楽しく,皆が一所懸命に研究しながらも互いに助け合う雰囲気があって,非常に気に入っています。他の研究室の先生方とも,皆でわいわいにぎやかに毎日暮らしていると,現在がわりと私の憧れていた生活に近いんじゃないか,と感じます。
そもそも学生時代に勉強嫌いで遊びほうけていた私が,研究に憧れたきっかけを思い起こすに,学生時代のあまりにも怠惰な生活を反省したことに加えて,どうも恩師の2人の影響が強いような気がします。私が研修医のときに,モーニングカンファレンスなるものがあって,土曜日の朝早くからスタッフと大学院生の一部が集まって最新の研究論文を読んでいました。皆が眠そうななかに教授がうれしそうに,にこにこして聞いているのを見て,こんなに楽しそうに毎日を暮らせるなら研究もよいなあ,と思ったのがひとつ。次に市中病院に赴任してから,臨床家として名高い部長先生が,ものすごく楽しい思い出として研究していた頃のことをいつも話してくれていたのがもうひとつ。どうもこのふたつの印象が,研究に対する私の理想像を決定づけたように思います。わが家の猫がマイアミの家の中を走り回るのを眺めていて私の理想が,①眠たくなったら寝る②眼が醒めたら猫が猫じゃらしで遊ぶように娯楽として仕事を楽しむ③お腹がへったらごはんを食べる という単純なものだと悟りました(図)。
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