ひろば
日本の理学療法定義に関する考察
中村 壮大
1
Souta Nakamura
1
1日本医療科学大学
pp.1110
発行日 2020年9月15日
Published Date 2020/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551202054
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日本の理学療法士の歴史も55年に至り,変遷してきたことに鑑み,理学療法定義に関してあらためて考察してみたい.理学療法の法律上の背景としては,1965年に制定された「理学療法士及び作業療法士法」が挙げられる.同法第一章第一条では,「理学療法士及び作業療法士の資格を定めるとともに,その業務が,適正に運用されるよう規律し,もって医療の普及及び向上に寄与することを目的とする」とされている.そして,第一章第二条に「『理学療法』とは,身体に障害のある者に対し,主としてその基本的動作能力の回復を図るため,治療体操その他の運動を行なわせ,及び電気刺激,マッサージ,温熱その他の物理的手段を加えることをいう」とある.なお,上記した定義は戦後の理学療法前時代(法律制定以前に理学療法が行われていた時期)の内容が残存しているとも思える.
しかし,法律制定から半世紀経過した現在の理学療法教育・臨床・研究などは,社会構造の変化に伴い国民の要請も多様化し,それに応えるために進展を遂げてきた.よって,既存の定義は現状にそぐわない内容であると言えることから,それに関する議論を通じて考察する必要性を強く感じる.
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