Japanese
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特集 sudden death
急死—その定義,頻度,死因についての考察
Sudden Death:The Definition, Incidence and Causes
藤井 潤
1
Jun Fujii
1
1朝日生命成人病研究所
1Institute for Adult Diseases, Asahi Life Foundation
pp.347-351
発行日 1979年4月15日
Published Date 1979/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203342
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古代ローマ人は,活動中の人を襲う突然の死を神の意志と考えた1)。急死は現代でもミステリーに包まれており,われわれ臨床医の手に充分把握されているとはいえない。
急死例のなかには臨床医の診察を受ける前に死亡する例が少なくない。Framingham Study2)によると,冠動脈疾患による死亡の2/3は病院外で死亡している。たとえ診察を受けても急死例の診断はむずかしく,病理解剖をすると予想外の疾患がみつかることがある。
臨床診断と剖検所見とを対比した沖中3)によると,誤診例107例のうち,33例は入院後短期間に死亡したものや重症のため検査不充分の例であった。急死例のなかには剖検によっても死因の明らかでないものがある。不整脈死などは死戦期の心電図記録がない限り,剖検所見からは推定以上の診断は下せない。このように臨床医にとっても病理学者にとっても,急死は扱いやすい対象ではない。ここでは臨床医の立場から急死の定義,頻度,死因などについて展望してみようと思う。
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