連載 ネパール&途上国・6
ヒマラヤの風で蕾が咲いた
岩村 昇
1
Noboru IWAMURA
1
1神戸大学医学部医学研究国際交流センター
pp.583-587
発行日 1981年7月15日
Published Date 1981/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401206354
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■Community based health programの中のよき教育者
ネパールの無医地帯の一つの村で "Community based TB control program" の走りが,草の根の人達自身のチーム・ワークででき上がりつつあった.その中心になったのは,自分が結核に罹って治った経験のある若き村長であり,カリスマのある民間療法師であり,元看護卒であり,しかも彼らはお互いにアプノ・マンチェ(身内,親しい友人,仲間同士)であった.
この一つの小さな例を模範例として注目したのは,日本人公衆衛生医の岩村ではなく,アメリカ人外科医Dr. Carl Friedericksであった.つづいてネパール人外科医Dr. Mohin Shahであった.Dr. C. Friedericksは当時の1972年既にネパール生活歴20年という経験の持ち主で,後に母国,アメリカのケンタッキー大学でcommunity healthのfield professorとなられた.Dr. M. Shahはイギリスで王位外科学会員の専門医資格を獲得し,母国ネパールに帰って国立中央病院Bir Hospitalで敏腕をふるっておられたが,後に,第1報で述べたInstitute of Medicineの初代Deanとなられ,教え子のHealth AssistantsをCommunity Health Workersに仕立てることに腐心された.
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