連載 理学療法士が知っておきたいヘルスケア産業・2
ヘルスツーリズム
髙橋 伸佳
1
1特定非営利活動法人日本ヘルスツーリズム振興機構
pp.216
発行日 2020年2月15日
Published Date 2020/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551201811
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健康・医療と旅行・観光の融合は古くから存在する.前田1)は「歴史的にみると,健康回復・増進を意図した旅行は,洋の東西を問わず古く存在していた.ヨーロッパおよびアメリカにおいては,ギリシア・ローマ時代に定着した休養・保養文化が17世紀以降,近代医学の発展とともに復活し,温泉や海浜の保養地形成にまで発達し,現代におけるリゾートの原型になっている」と指摘している.「ヘルスツーリズム」自体は,1973年の官設観光機関国際同盟(International Union of Official Travel Organizations)の報告書に初めて記載された新しいツーリズム形態の1つである.それによると,「ヘルスツーリズムは自然資源,とくに温泉,気候などを活用した観光施設の提供(サービス)」であると定義づけられていた.本邦においては,2006年に制定された「観光立国推進基本法」において,新たな観光分野の開拓の目的でヘルスツーリズムの推進が盛り込まれ,全国的に広がっていった経緯がある.
プログラムには,「ウォーキングと温泉を組み合わせた滞在型プログラム」,「地元の食材を活用し正しい食生活を学ぶプログラム」,「地域資源を活用したリハビリテーションプログラム」など,多種多様なものが存在する.運動,温泉,食といった地域資源を活用した第一次予防(健康増進),第二次予防(病気の早期発見・早期治療),第三次予防(リハビリテーション)に至るまでの幅広いプログラムが存在している.
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