特集 変容する患者像―求められるヘルスリテラシー
ヘルスリテラシーとヘルスプロモーション
中山 和弘
1
1聖路加看護大学
pp.394-400
発行日 2008年5月1日
Published Date 2008/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541101182
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ヘルスプロモーションにおけるヘルスリテラシーへの注目
世界の健康政策の中心となっているヘルスプロモーションでは「人びとが自らの健康をコントロールし,改善することができるようにするプロセスである」というオタワ憲章の定義が多く用いられている.そこでは,個人が健康的な生活を送ることができるスキルや能力を高めることを,個人だけに要求するのではなく,それをサポートできる環境を社会的,経済的,政治的に作り出すことが強調されている.実際にトップダウン式の健康教育で知識を与えただけでは行動変容は起こりにくく,社会的に決定されているものを変えるには,社会を変える必要がある1).そのためには,その活動に人々が参加して影響を与えることが不可欠であるとされている.
1986年にオタワ憲章を発布した第1回ヘルスプロモーション世界会議は,2005年には6回目を迎え,バンコク憲章が採択された2).そこでは,人びとが獲得すべき能力の中に,ヘルスリテラシーが盛り込まれている.それはすでに1998年のWHOによるヘルスプロモーション用語集にも登場していたが,バンコク憲章は,全体としてグローバル化した現在の世界状況をより反映したものとなっている点で意義深い.
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