あんてな シリーズ 介護予防への取り組み・7
民間事業所が進める介護予防事業と理学療法のかかわり—行政との有機的連携による介護予防事業の展開
松井 一人
1
Kazuhito Matsui
1
1株式会社ほっとリハビリシステムズ
pp.736-741
発行日 2019年7月15日
Published Date 2019/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551201612
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
わが国は,世界に類をみないスピードで少子高齢化が進展し,現在では世界最長寿国家となっている.一方で,要介護者の増加や医療依存度の高い高齢者の増加は,大きな課題となっている.そのようななか,わが国において,2006年に介護予防施策が大きく動き出した.介護保険制度のなかに要支援1,2が位置づけられ,予防給付という施策が展開し定義づけられたところから始まった.
しかし,その介護予防施策は成功したとは言いがたかった.それは,予防とは名ばかりで,新たな予防に資するケアは進展せず,従来どおりの介護が提供され,給付の枠組みだけが,介護給付から予防給付に変化させたサービスが多かったからだと考える.
このことから,2015年には,介護予防・日常生活支援総合事業が打ち出され,新たな枠組みでの介護予防施策が稼働し始めることになった.
このような経過において,ほっとリハビリシステムズ(以下,当社)では,2004年から介護予防プロジェクトチームを立ち上げ,自治体ごとに実施される地域での介護予防教室への参画や,予防給付の利用者を対象とした通所介護の運営について検討してきた.本稿では,自治体との連携のもとで進めてきた介護予防事業について報告するなかで,わが国における介護予防事業の今後のあり方について考えてみたい.
Copyright © 2019, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.