書評
—馬場元毅(著)—「絵でみる脳と神経 第4版—しくみと障害のメカニズム」
森岡 周
1
1畿央大学大学院健康科学研究科
pp.182
発行日 2019年2月15日
Published Date 2019/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551201460
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「脳と神経のしくみは複雑である」と誰しもが思っていることでしょう.医療職に就こうとしている学生にとって,「脳と神経」に関する学習は,最も難渋する分野ではないでしょうか.しかし,馬場元毅先生による本書『絵でみる脳と神経—しくみと障害のメカニズム 第4版』は,それを見事に払拭してくれます.
本書は,「しくみと障害のメカニズム」と副題にあるように,脳と神経の構造と生理,そしてその障害のメカニズムが一冊のなかで学べるところに特徴があります.解剖生理学と疾病の特徴あるいはそのメカニズムを統合し解釈していくことは,それを学ぶ学生たちにとって最も苦労するプロセスであることを,私は長年の教員生活から知っています.特に神経解剖学,神経生理学,神経学に関する教科書が別々であることから,それらの情報を統合していくことに学生たちはとても苦労するようです.有職者となり臨床に出ればそれらは徐々に自己の経験から統合されていきますが,まだ臨床経験のない学生にとって,解剖生理といった基礎科学と神経学といった臨床医学を結び付けていくことは,至難の技のようです.
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