特集 退院支援—理学療法士はその先が見えているか
訪問理学療法からみた退院支援—ここに着目!
伊藤 卓也
1
Takuya Ito
1
1主体会病院総合リハビリテーションセンター
キーワード:
入院中と退院後のADL乖離
,
退院後の生活イメージの限界
,
リハビリテーションマネジメント
Keyword:
入院中と退院後のADL乖離
,
退院後の生活イメージの限界
,
リハビリテーションマネジメント
pp.1121-1128
発行日 2018年12月15日
Published Date 2018/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551201392
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はじめに
2018年4月に診療報酬・介護報酬の同時改定が行われ,その議論の過程で,病院リハビリテーションと退院後のリハビリテーションの連携や情報共有について多くの資料が提示され,重要な課題として挙げられている.医学的リハビリテーションにおける急性期,回復期,生活支援期といった機能分化が進むことにより,病院に勤務する理学療法士(病院理学療法士)と訪問理学療法に従事する理学療法士(訪問理学療法士)が退院支援に取り組む場面が増えている.しかし,双方の理学療法士による退院支援は,必ずしも質の高いものばかりとは言えない.訪問理学療法士から,病院リハビリテーションへの不満を耳にしたことがある一方で,病院理学療法士から,訪問リハビリテーションへの不満を耳にしたこともある.医療保険や介護保険といった制度の違いや,そのなかで担う役割が異なるため,それぞれの想いや考えにずれが生じているかもしれない.退院支援という共通の支援に向け,病院理学療法士,訪問理学療法士の双方が制度や立場,役割を再認識し,相互理解を深めることが大切である.
筆者は,病院の回復期リハビリテーション病棟勤務を経て,病院併設の訪問リハビリテーションの立ち上げに携わった.その後,訪問リハビリテーション,通所リハビリテーションの管理職を経て,現在は,回復期リハビリテーション病棟や訪問リハビリテーション,通所リハビリテーション,小児,スポーツ,内部疾患などさまざまな分野のリハビリテーションを提供している部門全体の管理職を務めている.本稿では病院と訪問の双方の視点から,理学療法士の退院支援はどうあるべきかについて述べていきたい.
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