特集 退院支援—理学療法士はその先が見えているか
回復期リハビリテーション病院における理学療法士の退院支援
井手 伸二
1
,
中島 龍星
1
,
永田 春輔
1
Shinji Ide
1
1一般社団法人是真会長崎リハビリテーション病院
キーワード:
理学療法評価
,
基本的動作
,
日常生活活動
Keyword:
理学療法評価
,
基本的動作
,
日常生活活動
pp.1115-1120
発行日 2018年12月15日
Published Date 2018/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551201391
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はじめに
2018年度の診療報酬改定では,2025年の医療需要推計に基づく必要な病床数を定め,病床の機能分化を進める「地域医療構想」と,住み慣れた地域でその人らしい生活を継続できる体制を構築していく「地域包括ケアシステム」の2点を推進していくことが明確に示された.回復期リハビリテーション病棟においては,回復期リハビリテーション入院料が3区分から6区分に再編され,これに合わせて実績指数も2段階に見直された.ADLの効率的改善度合いを評価するものである.回復期リハビリテーション病棟の役割は機能や能力障害を最大限に改善・向上させ,生活を再建し,在宅復帰を支援することが本来的であるが,今回の改定によって入院期間の効率化(短縮化)も起こることが考えられ,この意味でも「入院中から退院後の地域生活を視野に入れた適切な退院支援をいかに行っていくか」が今後一層問われるものと考えている.
一方,退院後の地域生活に対しては,「自立」,「重度化予防」をキーワードに介護予防などさまざまな取り組みが全国各地で実践されている.生活期につなぐ立場にある回復期に従事するわれわれ理学療法士にはこうした動きをしっかりと理解し,急性期・回復期・生活期というリハビリテーション医療の流れのなかで一貫した「自立支援」という考えのもと関係機関との連携を図っていくことが求められている.
このような状況において,回復期リハビリテーション病棟が行う退院支援についてはより議論を深める必要性を感じており,あらためて理学療法士の立場から「入院中の支援の在り方」について考えていきたい.
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