甃のうへ・第60回
私の地域リハビリテーション観
甲斐 恭子
1
1社会医療法人社団大久保病院
pp.651
発行日 2018年7月15日
Published Date 2018/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551201250
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この春,わが子2人が社会人となった.子育てと仕事の両立を振り返ると,家族の理解があって続けてこられたとあらためて感謝している.器用にこなせるタイプではなかったが,職場での後輩教育が子育ての参考になり,子供を通じて経験したことが患者さんやご家族へのかかわりのヒントになったことも多かった.
学生時代,長期実習とは別に「地域リハビリテーション実習」があった.当時はまだ介護保険がない時代で,先駆けであった行政所属の理学療法士の訪問リハビリテーションの現場を見学させていただくというものであった.身体機能だけではなく,環境調整に理学療法士の工夫がみられ,重度の障害があってもご家族とともに笑顔で過ごされていて,理学療法士との信頼関係の厚さに感銘を受けた.卒業後に就職した病院は小規模であったが,訪問リハビリテーションも行っており,私も1年目から担当患者さんの退院後の訪問リハビリテーションを申し出て,その経験を症例発表させていただいた.今思えば,真のニーズに応えられたかわからないが,ゴールである生活像を急性期から予測(想像)してかかわることの大切さを学ばせていただいた.現在も訪問リハビリテーションや介護予防事業,専門職派遣事業などにかかわっているが,入院期間に改善した身体機能が退院後の生活環境によって改善も悪化もすることをたくさん経験した.
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