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編集後記
高橋 哲也
pp.592
発行日 2018年6月15日
Published Date 2018/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551201235
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「理学療法ジャーナル」第52巻第6号をお届けします.今回の特集は「地域に広がる心臓リハビリテーション」です.心臓リハビリテーションが本邦で健康保険適用承認されて30年.私が理学療法士の免許を取得してから29年ですので,私は日本の心臓リハビリテーションの歴史とともに歩んできたと感じています.私が理学療法士として働き始めたときには,急性心筋梗塞後のリハビリテーションが最も盛んで,急性期治療による安静臥床の弊害としての運動耐容能の低下に加え,心疾患という命にかかわる病気をもつ患者に対するリスク管理,嫌気性代謝閾値レベルの運動処方がその関心の中心でした.しかし,健康保険適用承認後30年が経過する今,対象疾患は高齢化し,多くの患者が重複障害をもち,理学療法士の役割や活動のフィールドは大きく変わってきました.
世界は高齢化が進んでいます.特にアジア諸国の高齢化は深刻です.米国の医学教育に影響を与えた内科医で,聖路加国際病院理事長・名誉院長の故日野原重明先生とも親交があった医師,ウィリアム・オスラー博士が「ヒトは血管とともに老いる」と述べたことはあまりにも有名です.動脈硬化は老化の最たる症状ですので,骨格筋を主たる治療ターゲットとする理学療法士にとっても心臓や血管に対する配慮がこれまで以上に必要とされているのは言うまでもありません.
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