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編集後記
高橋 哲也
pp.1036
発行日 2010年11月15日
Published Date 2010/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551101809
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秋になり,学生の“就活“が本格化してきました.理学療法士の需給バランスが問題になっていますが,求人数自体は学生定員をはるかに超え,特に訪問リハビリテーションを視野に入れた求人が増加しています.一方で,学生自身の就職したい職場のイメージとしては,いまだに「総合病院」「大きくて勉強のできるところ」という声が少なくなく,10年以上前より代わり映えはしません.
医学の進歩とともに,救命救急医療や高度専門医療が発達しました.その一方で,がんや難病などの根治不可能な病気の存在や,肥満や糖尿病,高齢者特有の慢性疾患や重複障害者の存在が目立つようになり,病院での医学モデルの限界を象徴しています.医療を受ける患者側の意識も変化してきています.急性期の病院には長く置いてもらえない,病院や施設よりも住み慣れた自宅で療養したい,などという生活の質を重視した生活モデルが医療を受ける側の意識の中に広がってきています.医療費高騰の背景もあって,国は今後さらに平均在院期間を短縮化させ,医療依存度の高い患者さんの在宅医療を後押ししていくことでしょう.学生の就職したい職場のイメージは代わり映えしませんが,理学療法士の働く環境は大きく変化してきています.日本は先進諸外国に比べて病床数が多く,在院日数も桁違いに多いのが現状です.また,高齢社会による医療費の高騰も大きな社会問題です.そのため,今後は慢性疾患や在宅医療がキーワードとなって,理学療法士の活躍の場を広げていくことと思います.
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