入門講座 歩行・1【新連載】
歩行のバイオメカニクス
長田 悠路
1
Yuji Osada
1
1社会福祉法人農協共済中伊豆リハビリテーションセンター
キーワード:
歩行
,
バイオメカニクス
,
入門
Keyword:
歩行
,
バイオメカニクス
,
入門
pp.51-57
発行日 2018年1月15日
Published Date 2018/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551201091
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理学療法士は歩行の何を知っておくべきか
理学療法士として対象者の歩行を評価し介入するために,歩行動作について何を知っておくべきなのだろうか.歩行の立脚期に骨盤が何°回旋するのか,膝は何°曲がるのか,重心は何cm側方へ移動するのか,学生時代にはこういった類の数字を必死になって暗記した.試験が終わり,大方の数字を忘却した後に残ったのは,「歩行は難しい」という印象だけである.各関節が歩行時に何°動くかという具体的数値の記憶は基準値としての参考にはなるかもしれない.しかし,それらの数値はある一定した条件で計測された際の結果でしかなく,歩行速度が変化するだけでも大きく変わってしまう1).
なぜそのように動くかという理屈を知っておけば,臨床でも応用を効かせて対応することができる.動作の理屈を解き明かす手立ての一つに生体力学(バイオメカニクス)がある.バイオメカニクスと聞くだけで難しいという印象を受ける方もいるかと思うが,本稿はなるべく図を多く使い,グラフなどの複雑な表現は極力用いずに歩行の仕組みを解説したい.
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