Japanese
English
症例報告
運動療法が石灰融解過程促進に寄与した可能性のある石灰沈着性腱板炎の一例
A case of calcified rotator cuff inflammation in which therapeutic exercise might have accelerated the dissolution of calcification
井坂 晴志
1
,
岡西 尚人
2
,
山本 紘之
1
,
今村 進吾
3
,
菅谷 啓之
4
Hiroshi Isaka
1
1医療法人優進会いまむら整形外科リハビリテーション科
2医療法人平針かとう整形外科リハビリテーション科
3医療法人優進会いまむら整形外科
4船橋整形外科病院肩関節・肘関節センター
キーワード:
石灰沈着性腱板炎
,
運動療法
,
血行動態
Keyword:
石灰沈着性腱板炎
,
運動療法
,
血行動態
pp.823-827
発行日 2017年9月15日
Published Date 2017/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551200983
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
要旨 エコー画像にて,棘上筋から棘下筋上部線維の範囲に慢性型の石灰沈着を発症した症例に対する理学療法を経験した.理学所見では,肩甲胸郭関節の機能低下および臼蓋上腕関節後上方から後下方組織の伸張性低下を認めた.石灰沈着自体が疼痛の発生要因ではなく,肩甲胸郭関節の機能低下に加え臼蓋上腕関節後下方支持組織の伸張性低下により生じる上腕骨頭の前上方偏位によって,石灰沈着部と烏口肩峰靱帯の接触圧上昇が生じていると考え,肩甲胸郭関節の機能改善ならびに棘上筋および棘下筋上部線維の伸張性獲得を目的に運動療法を実施した.加療3か月後には,肩甲胸郭関節の機能は改善され臼蓋上腕関節の内旋可動域は拡大し,動作時痛は消失した.エコー画像では,石灰沈着が縮小し,カラードップラ法では石灰沈着内に血流増生像を認め,初期に存在した烏口肩峰靱帯周囲の血流増生像は消失していた.肩関節複合体の機能改善に伴い棘上筋および棘下筋上部線維内の循環動態が好転したことで石灰沈着の吸収を促したと考えた.
Copyright © 2017, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.