特集 ACL損傷と動作
疫学調査からみたACL損傷と動作
高橋 佐江子
1
,
永野 康治
2
Saeko Takahashi
1
1国立スポーツ科学センター
2日本女子体育大学体育学部スポーツ健康学科健康スポーツ学専攻
キーワード:
ACL損傷
,
疫学
,
受傷動作
Keyword:
ACL損傷
,
疫学
,
受傷動作
pp.751-755
発行日 2017年9月15日
Published Date 2017/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551200965
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発生率
本邦における膝前十字靱帯(anterior cruciate ligament:ACL)損傷の発生率は日本スポーツ振興センター(Japan Sport Council:JSC)の災害共済給付データによる報告がある1).中学校1年生から高等学校3年生の運動部活動におけるACL受傷件数は年間約3,000件であり,受傷率は1,000人あたり男性0.48件,女性1.36件で,女性は男性より2.8倍発生頻度が高く,男女ともに高校2年生での発生率が高かった(図1)1).競技別では,男性はラグビーと柔道,女性はバスケットボールと柔道で特に発生率が高かった1,2)(図2)1).
他国では練習や試合10万回(100,000 Athletes exposure:AE)あたりの発生率としての報告が多い.米国の高校生を対象とした報告では,男性2.6件/100,000AE,女性8.9件/100,000AEで,女性は男性より3.4倍発生頻度が高かった3).種目別では,女子サッカー,男子フットボール,男子サッカー,女子バスケットボールの順に発生率が高かった3).つまり,各国共通して女性の発生率が男性より高く,競技別にはコンタクトスポーツ(柔道,ラグビー,フットボール)と,女性においては球技(バスケットボール,サッカーなど)の発生率が高いと言える.
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