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書評 —中山健夫(監修)/日髙正巳,藤本修平(編集)—「PT・OT・STのための診療ガイドライン活用法」
諸橋 勇
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1いわてリハビリテーションセンター機能回復療法部
pp.687
発行日 2017年8月15日
Published Date 2017/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551200943
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運動療法を行っている場合,誰かに「それ何のためにやっているの」,「それをやってどんな効果があるの」,「その根拠は」と問われ,自分の意思決定の過程を適切に説明できる療法士がどれほどいるだろうか.毎年数多くのリハビリテーション関係の書籍が出版され,エビデンスに関しても多くの情報が提供され,例えばインターネットで国内外の文献を手軽に検索,入手することも可能である.そんな環境のなか,なぜ臨床現場ではevidence based medicine(EBM)や診療ガイドラインの利用や活用が進まないのか.今後,ユーザー側の教育に焦点を当てないと,いくら情報環境が整っても臨床に変革が進まないと考えられる.
そんな課題のなかで,本書は満を持してタイムリーに出版された.「診療ガイドラインは質の高いエビデンスを系統的に収集し,そのエビデンスと専門家たちの知見などから推奨度を決定する」とされている.まず診療ガイドラインを理解すべく,本書では第2章で「エビデンスの評価と批判的吟味に必要な知識」を取り上げ,研究デザインなどに関して詳細に記述し,研究の初学者にとっても大変参考になる内容である.第3章では「診療ガイドラインの基礎知識」について書かれており,ガイドラインの質的評価を行うGRADEを紹介し,より質の高いガイドラインの作成,また質を見分けることの重要性を示唆している.
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