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書評 —渡邉英夫・平山史朗・藤崎拡憲(著)—「脳卒中の下肢装具 第3版—病態に対応した装具の選択法」
長倉 裕二
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1熊本保健科学大学保健科学部リハビリテーション学科
pp.959
発行日 2016年10月15日
Published Date 2016/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551200693
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『脳卒中治療ガイドライン2015』の歩行障害のリハビリテーションにおいて,「内反尖足がある患者に対して歩行の改善のために短下肢装具を用いることが勧められる(グレードB)」として推奨されている.また,「歩行や歩行に関連する下肢訓練の量を多くすることは,歩行能力の改善のために強く勧められる(グレードA)」という推奨もあり,脳卒中のリハビリテーションにおいて歩行練習は不可欠なものとなっている.さらに,日本理学療法士学会から出版されている『理学療法診療ガイドライン2011』において装具療法は推奨グレードA/エビデンスレベル2とされ,FIM得点の向上,歩行速度の向上やエネルギー消費の減少,転倒予防に効果があるとされている.いずれも推奨グレードが高いことから,脳卒中片麻痺の歩行再建やリハビリテーションのなかで装具療法は大きな位置づけとなっていることがわかる.
しかし装具療法の担い手となる理学療法士の卒前教育のなかで,装具療法に関する内容は教科書をみる限り,昔から使用されている両側支柱型のダブルクレンザックタイプや後方支柱型靴べら式短下肢装具などがいまだ代表格として掲載され,比較的わかりやすく解説されているものの,新しい材料や部品など日々開発されている装具に関しては,臨床場面で試してみないとわからないというのが現状である.そしてこれらの情報が不十分なために,新しい装具作製に躊躇することもしばしばである.
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