書評
—渡邉英夫,平山史朗,藤﨑拡憲(著)—「脳卒中の下肢装具 第4版—病態に対応した装具の選択法」
遠藤 正英
1
1桜十字グループ福岡事業本部
pp.319
発行日 2023年3月15日
Published Date 2023/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551202978
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脳卒中片麻痺患者の下肢装具は入院中から退院後まで必要なものであり,近年では『脳卒中治療ガイドライン』にも掲載され,臨床場面で多く使用されるようになった.しかし,筆者が就職した2004年当時の理学療法は,下肢装具の使用に積極的ではなく,どちらかといえば「下肢装具の使用は理学療法士の敗北」と揶揄されていた.筆者が就職した施設は,湯之児式装具を開発された浅山滉先生がいらっしゃったので,何の抵抗もなく下肢装具を使用することができた.しかし職員のなかには,下肢装具の使用を嫌う者も多く存在し,冷ややかな目で見られていたのを思い出す.そのような世の中だったため,下肢装具を学ぶにも参考となる書籍が少なく苦労した.
下肢装具は,非常に多くの種類と機能,適応や使い方など多くの学びを必要とするため,初学者だけでなく,経験者においても壁にぶつかりやすい分野である.筆者も日本義肢装具学会学術大会に毎年参加し,下肢装具を知ることに努めたが,臨床での使用には難渋していた.そんな時,本書と出会うことができた.きっかけは,当院に出入りしていた義肢装具士に本書初版を紹介されたことであった.ハンドブックサイズで,多くの種類の下肢装具を写真付きで紹介し,機能や特徴に至るまで説明してあった.いまだに手にした時の衝撃は忘れることができず,バイブルとして暇さえあれば読み返したものである.本書のおかげで多くの種類の下肢装具の特徴を理解し,目の前の患者に適した選定をするための知識を得ることができた.
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