--------------------
編集後記
内山 靖
pp.440
発行日 2016年4月15日
Published Date 2016/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551200545
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
第50巻4号をお届けします.
この文章を書いているのは3月11日.あの日から5年の歳月が経ちました.風化の一方で根強い風評も続く現実に,私たち一人ひとりは何をすべきかをあらためて考えていくことが不可欠です.私自身,閖上の地を訪れた際の感覚は,今も鮮明に刻み込まれています.そんななかで,電子媒体は風化を防止する一助であるとともに,ひとが忘れようとしている出来事や感情をフラッシュバックのように呼び起こす媒体になっていると感じることがあります.この点では,写真が色あせていくさまや,人が人に思いを語り継いでいくというアナログ的な思考の重要性をあらためて感じます.許されない事実をあくまで改善する重要性とともに,“人の噂は七十五日”という言葉は,許されることや人はもちろん許すことで人々が前向きに過ごせるようになる過程として,人間が培ってきた一つの知恵であるようにも思います.私の手元には,第50回日本理学療法学術大会で特別講演をいただいた柳田邦男先生のサインが入った「悲しみは真の人生の始まり」と題する書籍があります.講演では,阪神大震災後のかかわりを通じて理学療法の意味を説いてくださり,私たちの職業や専門性の重さをあらためて強く自覚しています.
Copyright © 2016, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.