特集2 これまでの10年とこれからの10年—理学療法の発展と課題と夢
物理療法
生野 公貴
1
Koki Ikuno
1
1西大和リハビリテーション病院リハビリテーション部
キーワード:
電気刺激
,
translational research
,
仮説検証作業
Keyword:
電気刺激
,
translational research
,
仮説検証作業
pp.44-46
発行日 2016年1月15日
Published Date 2016/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551200442
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物理療法の現状
物理療法とは現代リハビリテーション医学の体系においてphysical agentsと呼ばれており,温熱,光線,電気,外力などの物理エネルギーを治療に利用したものである1).“物理療法”は,“運動療法”,“日常生活活動指導”,“義肢装具療法”と並び理学療法の主要な治療手段の一つとされる.しかしながら,近年物理療法は臨床現場において“効果の乏しい治療法”という誤った認識や“治療機器が高価である”といった実用性の観点から,その活用が軽視されている感がある.
43施設156名の現役理学療法士を対象とした2012年のアンケート調査では,81%が臨床で物理療法を実施しているものの,実施時間や実施理由の調査から,本来行われるべき仮説—検証といった臨床推論では物理療法が使用されていない現実が示唆されている2).また,不十分な卒前教育と卒後教育がその現況に拍車をかけており,物理療法衰退への“悪循環”が生じている.しかしながら,物理療法に関する研究数や理学療法以外の分野からの注目度はむしろ増しており,本来専門性を持っているはずの理学療法士がその貴重な武器を投げ捨ててしまっているのが実情ではないだろうか.
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