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はじめに
私は日本理学療法学生協会(Japan Physical Therapy Student Association:JPTSA)に所属している.JPTSAは理学療法士をめざす学生同士の交流・情報交換の機会を増やすことにより,学生の視野の拡大および理学療法に対する意識の向上・啓発を目的とした学生主体の団体である.主な活動として交流会があり,年に数回各地の大学で行われている.
また,JPTSAのその他の活動として,アジア理学療法学生協会(Asia Physical Therapy Student Association:APTSA)の活動への参加がある.APTSAは,理学療法士をめざすアジアの学生の情報交換の促進,国際競争力の向上,視野の拡大を目的とした団体である.私は,日本における交流会やAPTSAが毎年開催する学会に参加することで多くの学生と意見を交換する機会を得た.その際,国内・海外問わず多くの学生が臨床実習を話題として取り上げていた.
臨床実習に関して海外の学生と意見交換を行うことで,日本と海外の臨床実習の違いや日本の臨床実習の現状がみえてきた.また,日本各地の大学の学生との意見交換を通して現在の臨床実習においていくつかの問題点がみえてきた.そのなかでも最も印象的であったのは「臨床実習は臨床実習施設次第,指導者の考え方,やり方次第」という言葉である.つまり,臨床実習は臨床実習施設や臨床実習指導者の考え方によって経験できる実習の内容や実習中の生活が異なるということである.ほかにも,意見交換を通して多くの学生が臨床実習に対して不安を感じていること,そして実際に苦労したことなどを聞くことができた.
そこで,臨床実習に対して学生はどのように考えているのか,学生の考えをまとめるために,JPTSAの協力を得て複数の大学にアンケート調査を実施した.その結果をもとに,学生の立場からみた臨床実習の問題点と展望を提示したい.
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