--------------------
編集後記
高橋 哲也
pp.474
発行日 2014年5月15日
Published Date 2014/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551106648
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
私の専門は内部機能障害系理学療法である.内部機能障害の理学療法には,運動機能障害が強調される老年症候群はあまり関係ないのではと思う読者もいるかもしれないがとんでもない.3月21~23日に東京国際フォーラムで行われた第78回日本循環器学会学術集会でも,多くのセッションで老年症候群に関連する内容が議論されていた.冠動脈のカテーテル治療を得意としている医師は「カテ屋」と称されることもあるぐらい,カテーテルのみに強い興味を示すが,そのようなカテ屋の医師ですら,老年症候群への対応がカテーテル治療の成否に重要だ,と力説されていた.これまで以上に高齢者に対する関心が高くなっている.もはや「私の専門は……」ということ自体ナンセンスなのかもしれない.
本号の特集「老年症候群と理学療法」では,まず,秋下先生に老年症候群をわかりやすく解説いただいた.老年症候群を扱う難しさとチャレンジを教えてくれている.続く大渕先生はさまざまな老年症候群の評価を紹介し,縦断的かつ包括的評価の重要性を説かれている.老年症候群は,「包括的な対処を要する加齢に伴うさまざまな症状と生活機能の障害」と要約することができるが,理学療法で老年症候群は改善するのであろうか? 運動機能については高齢者トレーニングの第一人者の池添先生に最新の知見を加えて解説いただいている.また,NHKにも登場した島田先生は運動による認知機能改善のメカニズムを自験例とともにまとめている.続く野添先生が息切れや嚥下困難について,橋立先生が頻尿や失禁,便秘について,理学療法が及ぼす影響や効果についてレビューしている.どちらも理学療法の可能性を感じさせてくれる.
Copyright © 2014, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.